【RHO3分健康講座】第11回「トランス脂肪酸について②」

前回は、トランス脂肪酸の摂り過ぎが健康被害をもたらし、
世界では規制されている所もある、と紹介しました。

今回は、具体的にどのような健康被害があるのかをご説明しますね。

トランス脂肪酸による健康障害:心血管疾患になりやすい!

トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、いわゆる心筋梗塞になりやすくなります。

心筋梗塞は、急に胸が痛くなって、治療が遅れれば命に関わります。
(救急外来に訪れる患者の中には、心筋梗塞によって心肺停止になり死亡する方も一定数いらっしゃいます)

心血管疾患になりやすくなる理由としては、

・動脈硬化
・脂質代謝異常:LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増え、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減る
・高血圧を引き起こす
・インスリン抵抗性の悪化(→インスリンが効きにくくなるため、糖尿病にもなりやすい。糖尿病になると、血管がもろくなる)
・肥満になりやすい

などが報告されています。

さらに細かい説明をすると、
健常な血管内皮細胞からは、血栓を作りにくくする物質(NOやPGI2)が放出されています。
しかし、動脈硬化してしまった血管は、これらの物質を放出しなくなるため、
血栓を作りやすくなってしまいます。
出来てしまった血栓が、心臓の栄養血管である冠動脈に詰まれば心筋梗塞に、脳の血管に詰まると脳梗塞になります。

ニューヨークで2007年より外食店でトランス脂肪酸を禁止にしたところ、
他の地域と比べ心臓発作が7.8% 、脳卒中が3.6%少なくなった、という報告もあります。

ガイドラインでは?

少し難しい話になりますが、
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版において、
クリニカル・クエスチョン(CQ)8「トランス脂肪酸を控えることは動脈硬化性疾患予防のために有効か?」が設定され
「トランス脂肪酸の摂取を控えることは冠動脈疾患予防のために有効である」
との回答がエビデンスレベル2・推奨レベルBとして記載されました。

まとめ

皆さんにお伝えしたいのは、食事に気を付ければ、急に命を失う危険性が低くなり、寿命も延びるということです。

少しでも健康な体で生活してこそ、生活が楽しくなりますよね。

お菓子を買うときには、チラッと裏の栄養成分をご覧になっていただき、マーガリンやショートニング(加工油脂も)が入っていないかcheckしてみて下さいね。

参考

・篠原正和, 石田達郎, 平田健一 「血管医学」(2016)
・駒村和雄,他「Heart View」( 2015)
・篠原正和 「臨床栄養」(2011/7)
農林水産省 すぐに分かるトランス脂肪酸
日本動脈硬化学会 栄養成分表示に関する声明

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この記事を書いた人

三上華奈
RHO副代表。琉球大学在学中からRHOの活動に参加。
琉球大学医学部医学科を卒業し、現在は大阪で医師として勤務。