「病院嫌い」のための「病院の通い方」 第3回

「病院嫌い」のための「病院の通い方」03

病院の医療費、何となく高い気がしませんか?

病院が嫌いという人は、あまり病院に行かず、
人によっては薬局で薬を買うことも少ないため、
治療費や診察料は非常に高いものと思っている人が多いです。

私もそういう一人で、
昔、インフルエンザらしい症状の中、
一人で一週間ほど震えて自宅待機していたこともあります。

別の機会にインフルで病院に行ったら、
薬ももらえて、同じ自宅待機もずっと楽でした。

でも、思ったほど治療費は高くなかったのです。

普段は滅多に病院に行かない人だとしても、
病院を受診した際にかかる費用や、
健康保険に関する仕組みを知っていると安心です。

健康保険があれば医療費は1~3割の負担でいい

医療費は基本的に非常に高額です。

「困っている時につけこみやがって」と思うかもですが、
実際に命に関わる問題だからこそ、
緻密な研究やテストを数年数十年かけて行い、
その結晶ともいうべき方法や薬品で治療します。

企業で言う「研究開発費」が医療に関していえば、
他とは比べ物にならないほど高いのです。

自分の知識や経験をもとに、
効きそうなものを適当に薬として処方する。

風邪を引いたら首にネギを巻く。

そういう医療なら医療費はずっと安かったでしょう。

でも当然それでは信用できませんよね。
医療費が高いのは、確かな医療の提供のために必要だからなのです。

だから、日本では健康保険制度によって、
高額の医療費を保険でまかない、
1~3割の患者負担で済むようになっています。

国民全員が健康保険に強制加入になっているのは、
世界でも実は珍しいことで、
それだけ健康や病気治療への関心が高いことを意味します。

健康や寿命は国力に関係するところですので、
戦後にかなり力を入れて国民皆保険制度を作ってきました。

今は制度の問題などが色々言われてはいますが、
世界的に長寿国であり、先進国にまでなっていますから、
一定の成果があった素晴らしい制度なのです。

話が逸れましたが、健康保険制度のおかげで、
保険証さえ提示すれば、数百円から数千円を負担すれば、
ほとんどの病気に対して有効な治療が受けられます。

1万円以上する治療の多くは「自由診療」

しかしこの健康保険制度が適用できるのは、
国に認められている「標準治療」のみです。

標準治療とは「標準的な治療」という意味で、
既に効果が確認され、多くの実績のある治療法です。

標準治療ではない方法は「自由診療」と呼ばれ、
医療者が自由にその価格を決めることができます。

1回あたりの受診で1万円以上かかるケースの多くは、
この自由診療にあたります。

普通の治療でも1万円ほどになることはありますが、
ほとんど1~3割負担になるので数千円で済みます。

標準治療は実績ある確かな治療法を、
多くの人が受けることができるためのものです。

だから、安く、確かな治療が受けられると考えましょう。

運悪く保険証を持っていない場合には、
保険適用外の治療費を請求されてしまいますので、
その場合は1万円を超えることもありますが、
後で保険証を持っていけば差額の返金をちゃんと受けられます。

最新の治療法は基本的に「自由診療」

医学の進歩が急速に進んだことにより
以前は治らなかった病気やケガに対しても、
有効と言われる治療方法がどんどん出てきています。

再生医療などはその代表的なものと言えるでしょう。

しかし、まだまだ実績が不十分なために、
「自由診療」として扱われることになります。

実績が不十分ということは、まだ見ぬ副作用や、
その他のトラブルの可能性もあるということです。

自由診療である上に治療が可能な医師や、
必要な設備や環境の準備にも時間とコストが余計かかります。

テレビや新聞で聞きかじった「○○治療法」をお願いしても、
その多くは自由診療になってしまい、
長い期間待たされ、さらには膨大な治療費がかかるのです。

健康や医療の情報が増え、様々な可能性は模索できても、
実際に選択する際には慎重な判断が必要です。

中には実績のない新しい治療法を試したい医療者もいて、
不必要に自由診療の治療法を推すこともあるそうです。

「新しい治療法なら良いだろう」と安易に考えるのは危険です。

知ってると得するかもしれない医療費のマメ知識

知ってると微妙に得するかもしれないマメ知識を紹介します。

初診料と再診料

病院では、診療報酬点数という点数を元に医療費を計算します。

この時、初診ではカルテの作成や病気の診断など、
再診時に比べて多くの作業が必要になることから、
保険点数が高めにつきます。

そのため、初診は再診の場合に比べて高くなります。

病院が嫌いな人は「1度で済ませたい」と思いますから、
この「初診」という高い医療費ばかりを請求されています。

再診になると、この医療費はグッと減って、
ちょっとした診察だけなら数百円でも済んでしまうのです。

ちなみに、「どこまでが再診か」という範囲は、
医師が妥当と思われるところで判断します。

「次はいついつに来て下さいね」と言われたタイミングなら、
間違いなく再診になります。

しかし、ちょっと調子が良くなったからと通院をサボると、
医師は治ったと判断していますので、
また調子が落ちて同じ件で通院したとしても、
「今日はどうされましたか?」と初診扱いになります。

ですから、基本的には完治するまでちゃんと通院した方が、
体にもお財布にも優しいのです。

薬はできるだけジェネリック薬を選ぶ

内科などでは治療のために薬を使いますが、
この時にジェネリック薬を選ぶようにすると、
薬にかかる費用が大幅に削減されます。

ジェネリック医薬品は新薬としての特許期間が終わった薬と、
同じ有効成分を含み、効果・効能が期待できる薬
を言います。

開発費用が大きく削減できるため、安価で提供でき、
さらに実績も最初からついているというものです。

病気によってはジェネリック薬がまだない場合もありますが、
今後は時間の経過と共に多くなってくると思います。

水と薬

大きな病院は紹介状がないと高額に!

前回でもとりあげていますが、病院には役割があり、
大きな病院では紹介状がないと
選定療養費として5000円ほどの費用を負担することになります。

小さなクリニックなどの「かかりつけ医」で受診し、
必要に応じて紹介状をもらって大きな病院を受診します。
(救急の際はこの限りではありません)

これを知らないとびっくりする額になるので注意しましょう。

医師と患者が决められるのは治療内容だけ

病院では診療報酬制度によって治療費が決まっています。

これはお店などで言う「商品・サービス」の価格を、
病院側が自由に決定できないということでもあります。

診療報酬は病院の経営上重要ですので、
できれば診療報酬は多い方が良いのですが、
自由診療でなければ自由に治療費をつけられません。

病院側に可能なのは「治療の中身」の提案であり、
患者はこれを受け入れることも断ることもできます。

医師が治療や診察の方法を提示した際に、
内容や必要性、費用などを確認・相談できれば、
患者側は想定外の治療費を請求されるリスクは減ります。

ただし、適切な治療につながらないリスクもありますから、
医療に関する知識が患者側にない場合は、
医師の提案を素直に受け入れた方が良いと思います。

経済的に負担の大きい提案を受けないためにも、
普段からの医師との対話や関係性の構築が大切です。

医師による診察

医療費制度はどんどん変わる

医療費の制度はどんどん変化していきます。

医療に関わる状況は時々刻々と変化しており、
最適な制度というのも変わっているように思います。

基本的には医療費を下げたい国・患者側と、
医療費が下がると経営が成り立たない医療機関側で、
調整が常に行われています。

より良い医療とはどうあるべきなのか、
双方の立場からよく考える必要があります。

もちろん、健康が第一ですけどね。

2019年消費税増税

2019年に消費税の増税が予定されていますが、
病院の受診料には消費税はありません。

しかし、病院が治療のために購入する様々な物品には、
消費税が課せられています。

すると病院の経営が苦しくなってしまいますので、
消費税増税に向けて診療報酬点数を調整しています。

2025年問題

段階の世代が後期高齢者となり、
医療費のピークを迎えるのが2025年となっていて、
これが2025年問題として医療期間では危惧されています。

2025年が近づくにつれて、医療費の負担が大きくなり、
入院用の病床を有する病院では人員不足やベッド不足が危惧され、
かつ医師を始めとする従業員の労働の負担が大きくなります。

ピークを過ぎれば余剰設備や余剰人員が出てくるため、
様々な整理をどのように行うべきか検討する必要があります。

専門医資格と診療報酬連動の問題

現在、医師の知識や技術の担保・向上などを目的として、
専門医認定資格制度がありますが、
専門医資格保有と診療報酬を連動させるべきという
案が医療者側から提案されています。

より正確で質の高い医療を受けるためには適当とするか、
それとも患者負担が増えるだけだと考えるか、
判断が難しいところです。

今日のまとめ

  • 医療費負担は健康保険があれば1~3割負担でよい
  • 保険適用ができるのは「標準治療」のみ
  • 最新治療は「自由診療」なので高額
  • 仕組みがわかると医療費は減らせる
  • 医療費制度はよく変わるので注意


次回は、病院の薬と薬局の薬の違いについて紹介します。

この記事を書いた人

平良俊也
RHO代表。沖縄県出身。
コンテンツライター兼Webエンジニア。
職業柄見えるメディアの健康・医療情報の取り上げ方に問題意識を抱き、RHOの活動に参加。
現在、幼少の頃から染みついた不摂生な生活習慣の改善に挑戦中。